蒼雪ブレンド

千羽蒼慈 ……管理人の本家小説サイトです。

先輩後輩・贈り物編 ……ちゃう様作の挿絵付き、贈り物小説です。

先輩後輩・貰い物イラスト ……先輩と後輩。
先輩後輩・貰い物イラストⅡ ……物理の佐藤先生。


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名探偵

「隣町で殺人事件があったらしいわね」

「そうらしいですね。マスコミとか、けっこう来たそうですよ」

「まだ犯人の目星はついてないんだって」

「……どうしてそんな事を先輩が知ってるんです?」

「いよいよ、我が報道部の出番よ!」

「いきなり二時間ドラマ風にされてもついていけないんですけど……」

「警察と違って、犯人の見当は大体ついてるわ」

「ですから、どうして先輩がそういう事を知ってるんですか?」

彼女の試合

麗子ちゃんは、実はテニス部に所属している。

ちなみに私は合唱部。これでも歌には自信がある。運動系はダメだけど。

その麗子ちゃんが市の大会に出るとかで、応援に行ったの時のこと。

「ようこそ、那美」

大会の貴賓席に堂々と座っている一選手に誰もつっこまないのは、お金や権力の賜物なんだろうか。

「麗子ちゃん、試合に出るんじゃなかったの?」

「わたくし、シードですから」

「そうなんだ……」

どうしても裏の動きを勘繰ってしまうのは、私が疑り深いと言うより、きっとそれが正しいからだと思う。

気のせいではなく、周りの視線が痛い……。

「日ごろの行いの賜物でしょうか」

しかも、本人気づいてないし。おじさんか、それとも執事さんとかの仕業か。

試合本番だけはズルはできないと思うけど……嫌な予感を拭いきれない。

どうか、ラケットで打った球がコンクリートにめり込んだりしませんように……。



無理

「先輩、物理で追試だそうですね。一体何点だったんです?」

「見ればわかるわ」

「これは……」

「物理の佐藤も困ったものよね」

「点数の所に『無理』って書いてあるんですけど。物理とかそういう問題でもなく、点数ですらないですよね」

「ちょっと解答を全部暗号化してみただけなのに」

「なるほど……」

勝負

「先輩宛てに通販で買ったと思われる荷物が届いたんですけど。うちに」

「ありがと。持ってきてくれた?」

「持ってはきましたけど……。ちゃんと着払い料金払って下さい」

「雄太は良い奴よねー」

「払って下さい」

「うんうん。こんな後輩を持てて、先輩冥利に尽きるわ」

「後で請求書を先輩の家に送りますから」

「よ、太っ腹!」

「……絶対に負けませんからね」

迷走バレンタイン 終幕

運命の日は、思いのほか滞りなく過ぎていった。

本当に、何の問題もなく。

「目が死んでますわね……」

それはきっと気のせいではないんだろう。

「楽しみを失くしたサラリーマンのようですわよ?」

それもきっと気のせいではないんだろう。

「来年があるじゃない」

フォローがきつい。

確かに来年もこの日は来るんだろうけど、私の場合は例年と違うパターンが来るとは思えなかった。

枯れている。これから春を迎えるっていうのに、木枯らしが吹いてるくらいだよ。

「妥協しない所は素晴らしいと」

そんな事で褒められても。

「失恋よりはマシだと思いますけど?」

比較材料がそれならね……。

「やさぐれていないで先を見つめましょう、那美」

「……はーい」


迷走バレンタイン(3)

麗子ちゃんの家で働いている執事の息子さん。

その人について何か知ってるかと麗子ちゃんに尋ねてみたところ、返ってきた返答はこれだった。

「あー……。あのボディビルダーを目指している筋肉ムキムキの方ですね」

一瞬で興味が失せる。

「それがどうかしたんですの?」

「な、何でもないよ。あはは……」

そっち系の人は苦手なのだ。遠くに見ている分には良いけど、近くに来られると……。

格闘番組もダメだし、それに、私の好みはスラッとした美男子系。方向性が違う。

「もしかして、バレンタインデー関係?」

ああ、なぜそんな要らない所で妙な勘の鋭さを披露してくれるのだろう。

「違う違う。全然そういうのじゃないから!」

私は手をばたばたさせながら、慌てて否定した。

ところが、麗子ちゃんはそれを照れ隠しと誤解したのか、

「ふふっ。今度紹介して差し上げますわ」

なんて余計な事を。

「いや、ほんと違うから! 紹介とかいらないよ」

「あらそう? でも一歩を踏み出す勇気を持たないと、いつまでも今のままですわよ、那美」

「違うから。踏み出す必要のない一歩だから!」

バレンタインデーまでの道のりを迷走中。行きたい方向性に行かないのはどうしてか。

はあ……。今年もダメかも。

自転車

「自転車をそろそろ買い換えようかと思って」

「あの水色自転車をですか?」

「ええ。とりあえず、防水機能があって、カメラ付きで、ワンセグ対応していてほしいのよね」

「携帯電話みたいですね……」

「受信に困るもの」

「自転車に乗ってる時何か受信してるんですか!?」

用途

「重要なのは、報道部としてどうあるかって事よ」

「先輩……」

「だから、参加部員の数なんて関係ないわ」

「いえ、生徒会の言ってる事も最もかと。それに、その報道部としての在り方がまずいんだと思いますよ」

「何がいけないのよ」

「お菓子や雑誌に部費を使いまくってるのがいけないのかと」

また遅れたー

50万ヒット、また見逃しちゃいました。あぁ……。

少し遅れてしまいましたが、御礼小説もご用意しましたので。

50万ですものねvv

うーん、全然実感がない。正直、小説を見直すとあぁぁぁ!と嘆きたくなる瞬間もしばしば。

全部直してたら進めないんですよね。しくしく……。小説サイトやってる人は、きっと似たような経験があると思います。

成長してるのかなとよく疑問に思います。文体はちょくちょく変わってますけど。

あ、御礼小説の説明がまだでしたね。

先輩後輩・「召喚」です。

ショートショートよりやや長めの短編で、恋愛要素はありません。雄太の好意は普通に出してますが……。

会話文以外でこの子達書くと、ちょっと性格変わっちゃいますね。特に雄太。

冷めてるはずが……。子供っぽく、可愛くなってる気がします。なんだかワンコみたいですね。

忠犬雄太……。むぅ。イラストでも描ければ描いてみたいんですが。

迷走バレンタイン(2)

「嫌だね」

誰か紹介してとお兄ちゃんに話したところ、返ってきた返事がこれである。

「どうしてよ」

「俺の友達が自分の妹と付き合ってるなんて、俺は嫌なんだよ」

中途半端なシスコン振りだ。知らない人なら良いらしい。

というか、ただ単に自分の都合だけだよね、お兄様?

「それなら、彼女さんに相談してみてよ」

「何が楽しくて妹の男探しにあいつを付き合せなくちゃいけないんだ」

そうかなー。私だったら、けっこう楽しそうだと思うけど。

「ともかく、自分で何とかしろ」

自分で何とかならないから頼んでいるのに、そんな事を言われても困る。

どうやら相談する相手を間違ったらしい。今度はもっと行列のできそうな相手を選ばないと……って、そんな都合の良い人がいるならお兄ちゃんに頼んでない。

ああああ、バレンタインデーまで日にちがないというのにー!

また枯れた青春を過ごすのか、私。少しは発展しそうな物すら見つからないというのか。

「ううー……」

「わかったよ。一人なら、紹介してやれる奴がいる」

「本当に!?」

俄然乗り気になる私。しかし事態はどうも複雑だった。

「お前の友達の麗子って子。あの子の執事の息子が、うちの中学に通ってるらしくてな」

「え?」

思いがけない所からの情報。というか、いつの間にか麗子ちゃんの家の執事さんと仲が良くなってたんだね、お兄ちゃん。

「どうやらそいつが、中学でメイドと呼ばれてる女生徒に興味があるらしい」

あの中学でメイド。たぶん、私だろう。

「後は友達に聞くんだな。俺より詳しいはずだから」

「うん、わかった……」

話は再びきっかけともなった麗子ちゃんへ。訊けばきっと教えてくれそうだ。

でも、また麗子ちゃんとバレンタインデーの話をするのか。うーん……。

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