蒼雪ブレンド -7ページ目

小さな成金

街で買い物をしていたら、偶然見覚えのある金髪少年と出会った。

向こうもこちらを知っていたらしく、私が話しかける前に声をかけてきていた。

「お姉ちゃんのお友達の、えーっと、馬美さん?」

「『那美』だよ、ロイス君」

日本語ペラペラみたいなのに、なぜそこだけ間違えるのか。

純朴そうな少年だから、怒るに怒れないけど……。

「ロイス君はお買い物?」

「うん。あそこのお店」

そう言ってロイス君が指差す先には、昔ながらの駄菓子屋さんがあった。

麗子ちゃんの弟君って事は、この子もお金持ちのお坊ちゃんなはずなんだけど……。

「駄菓子が好きなの?」

「そうだよ。だから、あのお店二千万で買おうと思ったんだけど、駄目だって」

「……そう」

なるほど。この子は本物っぽい。

買い物は買い物でも、品物ではなく店を買うのね……。

弟君

麗子ちゃんには、弟君がいるらしい。

しかも、噂ではかなりの美形との事。

その話を聞いた私は、興味があったので、麗子ちゃんに弟君の写真を見せてもらったんだけど……。

「那美。この子が、弟のロイスよ」

「……えーっと」

金髪、青目に、白い肌。

外人だった。ハーフとも思えない、そのまま外国産の顔立ち。

確かに美形だけど、いろいろつっこまなければいけない問題がある。

「麗子ちゃんって、日本人じゃなかったの?」

「何を言っているのです。わたくし、純粋な日本人ですわ」

「じゃあ、彼も?」

「そのようなはずがないでしょう。ロイスはイングランドの生まれです」

なるほど。何となくわかってきたかも。

「養子?」

「ええ。血の繋がりのある兄弟はいませんもの」

「そうなんだ」

外人の弟だなんて、さすが麗子ちゃんって気もする。

普通じゃないよね、やっぱ……。

気持ち

「ところで雄太、誕生日に何か欲しいものってある?」

「もらえるんですか?」

「まあ、予算に合えば」

「ちなみに予算は?」

「300円」

「……遠足のおやつ並みですね」

「バナナはOK?」

「そんなお約束は要りません!」

「気持ちが大事よ」

「それはそうでしょうけど。あまり気持ちが込められているようには思えませんよ」

「気持ちを込めれば、バナナもメロンのような味がするのよ!」

「無理です」

感謝

「そう言えば、雄太の誕生日って今週の日曜だっけ」

「そうですけど。よく覚えてましたね、先輩」

「そりゃ小さな頃から一緒にいるもの。覚えてるわよ」

「そうかもしれないですけど。覚えていてもらえるってのは、やっぱり嬉しいものですね。ありがとうございます、先輩」

「……なんだかくすぐったいわね」

「照れてます?」

「だって、雄太に素直に感謝されるなんて珍しいじゃない」

「言われてみれば……」

「もうちょっとこういう面を出してくれると、雄太も可愛げがあるのに」

「素直に感謝できるような状況が少ないんですよ、先輩」

どちらが先?

古本君と麗子ちゃんの会話は、傍から聞いていると首を傾げる事ばかりである。

真面目に話してはいるんだろうけど、内容が……。

「どうして僕を追いかけてくるんだ!」

「なら、なぜあなたは逃げるのです」

「君が追いかけてくるからだろ!」

「あなたが逃げるから、気になるのではないですか」

「君が迫って来なければ、逃げはしないさ」

「でも、何もしなくても逃げたではありませんか」

「それは違う。君が何かしようとするから、僕は……」

「いいえ、違います。あなたがいきなり逃げたりするから……」

玉子が先か。鶏が先か。

傍観者である私としてはどちらでも良いんだけど、本人たちには重要問題らしい。

どっちもどっちだと思うんだけどな……。

弱肉強食

麗子ちゃんには、最近気になる男子がいるそうだ。

それが恋なのかどうか本人もはっきりしないそうなのだけど、話を聞いた私も、それが何なのかはっきりしなかった。

「古本君を見ると、無性に追い掛け回したくなるの」

「彼、麗子ちゃんを見ると、なぜか怯えた表情をしながら逃げ出すよね」

「何もした覚えはないのですけど」

「本当に?」

「逃げるあの人を追いかけるのは楽しいのですけどね」

「……野生のハンターだね、麗子ちゃん」

古本君は小動物っぽい所があるから、その図はきっとそう映るんだろう。

恋……なのかなぁ、これ。

月見

「月見バーガーの季節ね」

「いえ、普通に月見の季節と表現して下さいよ」

「月見団子は嫌いなの」

「……子供の頃、確か喉につまらせてましたね、先輩」

「月見の季節以外に食べるお団子は平気なのよ?」

「変なトラウマですね、それ」

「お月様の呪いかも」

「違うと思います」

変更です

掲示板を、以前使っていたものに戻しました。

変な人が来るようになっていたので……。

でも、前の掲示板を消し忘れていて、助かりました。

うっかり者の私に乾杯!(だめじゃん


会話

「髪を伸ばしてみようかと思ってるのよ」

「そうなんですか? 今のセミロングあたりが先輩には一番似合ってる気がしますけど」

「……確かに、今の髪型のあたしはやばいくらいに可愛いだろうけどさ」

「いえ、そんな事は一言も言ってませんけど」

「でも、たとえ雄太がセミロングフェチでも、あたしがそれを続けなきゃいけない理由はないのよね」

「ですから、そんな事も言ってませんって」

「だけど雄太がそこまで言うなら、ロングにするのはやめておいてあげるわ」

「……先輩。僕と会話をするつもりがありませんね」

冒険物っぽくなってきました

今回はわりとすんなり更新が始まりました、ジャンクジャンヌ。

おそらく更新はまた週一間隔になると思いますけど、ほとんどプロットはできあがっております。

内容は、題名の通りです。

要は、遺跡の登場ですね。実物見た事もないくせに、とんだ冒険をしたものです。……私が。

登場人物でなく、私が冒険してる時点でおかしい気はしますけど、エジプトとか行きたくてもそんなお金と暇がないので、仕方がありません。

ハラハラドキドキの冒険物は書けないと思うので、この作品の雰囲気のまま書いていこうと思ってます。

ボケ、ツッコミ、災難!

……方向性がおかしいぞ、私。

とまあ、たぶんまた軽い調子の話になると思いますので、肩の力を抜いて、お茶でも飲んでゆるゆると読んでもらえれば幸いです。


あと、「バニウサ」の方ですけど、短い話なので、どうせだから「ある女部長」と同じ扱いにしておきました。

どこまでを短編と定義するかが、微妙なんですけどね……。

こちらは定期更新という事もできないと思うので、全部終わってから読んでもらってでも大丈夫ですからー!


秋に入って涼しくなるかと思いきや、なかなかそうならずに暑かったり、急に涼しくなったり。

気温の変化に伴う体調変化には、みなさん十分にお気をつけ下さいね。

それでは、この辺りで……。